2021年2月1日月曜日

「快楽としての動物保護」

普段私たちが何気なく口にする言葉は、いつ、どのような形で生まれ現在に至るのか。この本で扱われるのはあくまでも大文字の「動物保護」であるが、著者は歴史に沿って文学、写真、映像という三つのメディアが動物や自然をどう表象し、それによって”動物保護”がどう形作られてきたのかを丁寧に説明していく。グローバル化とナショナル・アイデンティティ、無自覚な優生思想、児童文学の統制、マスメディアの影響力と資本主義の元で生まれる歪んだ正義。様々な問題があり、どこにその解決の糸口があるのか、それを模索するための一つの手引きとなるような本。


「快楽としての動物保護」(信岡朝子著:講談社