先日開催された札幌国際短編映画祭において、「カワウソ」がジャパン・プレミア・アワードを受賞。名誉なことです、ありがとうございました。
第18回札幌国際短編映画祭アワード発表
この短編アニメーション「カワウソ」はヴォードビリアンの上の助空五郎さん(かつてバロンと呼ばれた男)の2016年のアルバム「来し方行く末」に収録されている歌、”カワウソ”がその始まりとなっている。Studio Mangostenが主催する”ハンズボン映像展”で空五郎さんと共演した後、空五郎さんから”カワウソ”のMVを制作してほしいと持ちかけられ承諾したものの、独特で軽妙な歌に合わせた映像を作ることができず長く苦しんだ末、”カワウソ”をMVではなく”映画”のテーマ曲として使用するという結論に行き着き、それによってわたしは(”歌の呪縛”から解放され)新しく”カワウソの世界”を作っていくことが可能となったのだった。ありがとう、空五郎さん。
そして2023年に完成する見通しとなり、ほぼ映像ができ上がった時点で、サウンドアーティストのニシテツロウさんに本編のサウンドデザインをお願いすることとなった。ニシさんはわたしの第一作目「セルネフ」、二作目「小さなとかげ」の楽曲を担当してくれた人物である。自然音のサンプリングをメインにしたサウンドは「カワウソ」の映像に空間を広げ、画面の外の世界を鑑賞者に想像させる事に成功している。
脚本は、版画家で絵本作家の溝上幾久子がわたしと共同で担当した。イメージを先行して作っていくわたしの制作方法に溝上の存在は不可欠となっており、それは一作目の「セルネフ」以降続いている。
そして今回初めて作画でアルバイトを雇っている。画面のほとんどが鉛筆画で構成されているが、特に無数のオブジェを一人で描くのは困難であり、6人の美大卒業生に協力してもらった。
この「カワウソ」に関わってくれた全ての人は、自分の表現活動をしている作家であり、その方法も皆多様である。故に「カワウソ」で依頼した仕事内容は本人に取って本来の表現方法と異なっているものであったろう。にも拘らず、共に制作してくれた事に心より感謝したい。皆の御蔭で作品が完成し、映画祭で受賞することができた。ありがとう。
最後に2度に渡り福島県双葉郡の取材に協力してくれた渡邊克彦さんにお礼を申し上げたい、後半のイメージ作りに欠かせない体験となっている。
「カワウソ」制作スタッフ一覧(リンク有り)
監督、アニメーション:泉原昭人
サウンドデザイン:ニシテツロウ
脚本:溝上幾久子・泉原昭人
テーマ曲:上の助空五郎
作画協力:春日 佳歩、岡村 あい子、馬田 圭佑、穂積 さび、明河 まりな、伊藤 真希子