2026年1月24日土曜日

”愚か”なのは決定しているのか

 就職氷河期と言われた時代から既に30年。経済成長は止まり、賃金は上がらず、物価は高騰し、6人に一人が貧困と言われ、中小企業の倒産数は過去最高となり、自殺者は年間2万人を超えている。少子化が進む中で昨年の18歳以下の自殺者数も過去最高。何かがおかしいと感じ始めたのは随分と前のことだが、この国はそのままずるずると滅びの方向に進んでいるのだろうか。為政者は批判の目を逸らすために”敵”を作る。常套手段である。外と内に”敵”を作り憎悪と不安を煽る。危機感の積もった市民は威勢の良い言葉に煽られ、その矛先を権力者ではなく弱者に向けていく。内の”敵”とは必ず弱者であり、言語や文化の違うこの国で生活する絶対的少数の外国人であり、また低所得者、生活保護受給者など社会的に不利な立場や不利益な状況に置かれている人々である。私たちの社会は弱者を救済することができる社会ではなかったのか。

いったい私たちは歴史から何を学んできたのだろうか。
人類が”愚か”なのは既に決定していたことなのか。

そしてこの状況に直面した表現者には為す術があるのだろうか。
答えは作り続ける以外にはないだろう。

飛騨市美術館の展示に合わせて作成した「百羽の鳥」という映像作品がある。これは飛騨の地域の子どもや施設の方に描いてもらった鳥の絵を私がアニメーションとして組み立てたものである。様々な姿の鳥たちが共に飛び続ける情景から”対立”や”争い”を感じる人はいないだろう。ましてここには互いに憎悪を煽るものなど一つも存在しない。”共に生きる”とは何か、大きな想像力をもって考えて欲しいと切に願う。